新盆(初盆)とは? お盆に関する基本的なマナーやお供え物についてご紹介

一年に一度、故人やご先祖の霊が帰ってくる「お盆」の季節がやってきます。帰ってきた霊を、お供え物や提灯でお迎えして供養をする大切な期間ですが、故人が亡くなって初めて迎える「新盆(初盆)」はとくに手厚く供養するしきたりがあります。

この記事では、お盆に関するマナーや基礎知識、新盆(初盆)ならではの決まりごとなどをご紹介します。また、お盆におすすめのギフトもあわせてご紹介します。

新盆(初盆)とは

新盆(初盆)は、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆

新盆(初盆)は、故人の四十九日の忌明け後初めて迎えるお盆のことを指します。四十九日前にお盆を迎える場合は、新盆(初盆)を翌年におこなう形が一般的です。

故人が亡くなって初めて迎えるお盆ですから、僧侶や親族・故人と親しかった人などを招き、通常のお盆より丁寧にお迎えするべきとされ、新盆(初盆)特有のしきたりもあります。

地域によって読み方が異なり、「新盆」は「にいぼん」「しんぼん」「あらぼん」、「初盆」は「ういぼん」「はつぼん」などと読みます。

新盆ならではのマナーやしきたりがありますので、しっかり確認をとるようにしましょう!

コンシェルジュさん

お盆のお供えの基本・五供(ごく)

一般的に、五供(ごく)と言われているお供え物の基本は、香・灯燭・花・浄水・飮食の5つです。盆棚、精霊棚と呼ばれる棚をつくり、それらを飾りつけます。

棚には真菰(まこも)を敷き、四隅に葉の付いた青竹をくくり付け、竹の上の方にしめ縄を張っておきます。位牌の裏側にあたるしめ縄には、素麺や昆布、ホオズキをぶら下げておきます。

棚の上には、お位牌、お供え物、故人の好物などをお供えします。

お線香のことです。基本的に毎日お供えします。息を吹きかけて消さず、手や火消し用のうちわなどで消しましょう。

灯燭

ロウソクのことです。ロウソクの火も、息を吹きかけて消さず、手やろうそく消しで消しましょう。

トゲのある花、香りの強い花、つる性の花はふさわしくないとされています。最近ではこれらにこだわらず、故人の好きな花を供えることもあるようです。

浄水

水道水でも構わないので、毎日替えるようにしましょう。

飮食(おんじき)

日常食べるものをお供えします。どれも食べられる状態にしてお供えしましょう。袋物や封がされているものは口を開けます。果物などは洗って小鉢に入れたり、皮を剥いたりします。また、素麺などの乾麺は、きちんと茹でてお汁もつけてお供えします。腐りやすいものなどは、早めに下げるようにしましょう。

また地域や宗派、お家によってしきたりが決まっていることがあります。事前に確認しておきましょう。

新盆(初盆)にお参りするときのマナー

新盆(初盆)にお参りするときは、ご供養の気持ちを示すためにお供えを持参します。お供えの方法は、以下の3パターンから選ぶのが一般的です。

  • お香典(現金)をお供えする
  • お香典を包む代わりにお供え物を持参する
  • お香典とお供え物の両方を用意する

地域によって方法が異なりますので、事前に確認するようにしましょう。

いずれの場合も、法要日やお盆の期間に持参をするのが一般的です。お盆の入りである8月13日か、中日である14日に訪問するようにしましょう。時節柄出席が難しい場合は、同じ時期に先様に届くよう配送の手配をすれば問題はないでしょう。

お香典の相場とマナー

一般的な相場は3,000〜5,000円

新盆(初盆)は特別な行事ですから、通常のお盆と異なりお香典を包むケースがあります。これは地域の風習によりますので、詳しい方に必要かどうか事前に確認しておくと安心です。

お香典を持参する場合、故人や遺族との関係性に応じて3,000〜5,000円を包むのが一般的ですが、これはお供え物とあわせた場合の金額です。このような場合はお香典かお供え物、どちらかの金額を抑えるケースが多いようです。

お供え物とのバランスを考えた金額設定を

たとえば、お香典で3,000円を包む場合はお供え物を2,000円程度に、5,000円のお供え物を贈るならお香典は渡さないというように、バランスを考えて金額を決める必要があります。高額な金額は避け、無理のない範囲で設定しましょう。

不祝儀袋は双銀か藍銀または黄白の結び切りで、表書きは「御仏前」「御佛前」「御供物料」とします。

お供え物の相場とマナー

お供え物の全国的な相場は3,000〜1万円程度とかなり差がありますが、これはお供え物とお香典の両方を贈る地域と、どちらか片方だけを贈る地域に分かれるためです。地域の風習に詳しい方に確認しておきましょう。
お香典を別に用意する場合はお供え物の金額は抑えても問題はありませんが、お供え物だけを贈る場合はそれなりの金額の品を用意しましょう。

親戚として参列する場合は縁の深さを考え、前述の相場より高価なお供え物を贈ります。お香典を別に用意するかどうかにもよりますが、1〜3万円程度が相場とされています。

新盆(初盆)のお供え物の定番

新盆(初盆)には必ずお供え物を持参する

新盆(初盆)は、故人の魂が初めて遺族のもとに帰ってくる大切な日。一般的な法要より大掛かりな供養を行うケースが多く、親戚だけでなく、友人や知人など生前に親交のあった人を招くことも珍しくありません。

初盆に招かれる側になった場合、参列するときにはきちんとしたお供え物を持参するのがマナーです。遺族にとってとても大切な行事ですから、偲ぶ気持ちを示すためにも手ぶらで伺うことのないようにしましょう。

持参しやすいお供え物を

お盆のお供え物の定番は、前述した「五供」とされており、これをベースに考えるとよいでしょう。すべてを持参するのは大変なので、線香やお花、お菓子などの消え物のギフトを選ぶのが一般的です。

のし紙は、白黒の結び切りで、表書きは「御供物(おくもつ)」、基本的に「外のし」で用意します。

お供え物におすすめのギフト

スイーツギフト

新盆(初盆)のお供え物におすすめなのはスイーツギフトです。ある程度賞味期限にゆとりがあれば仏壇にお供えでき、且つ個包装になっていれば親戚の方にも配りやすくなります。

お供え物には避けた方がよいもの

肉や魚などの生ものは贈らない

仏教では、無益な殺生を禁じているため、魚介類や肉類などをお供え物に選んではいけません。新盆(初盆)の季節は夏ですので、生ものを贈るということはないかと思われますが、今一度念頭に置いておきましょう。

故人にゆかりのある贈り物は避ける

また、故人が生前に好きだった食べ物や、愛用していた日用品も避けたほうがよいでしょう。新盆(初盆)は、故人が旅立たれてからまだ間もなく、遺族の記憶も新しいもの。故人を思い出させてしまう品物をお供えするのは、かえって遺族につらい思いをさせてしまいます。

とくに、お子さんを亡くしてしまった場合の新盆(初盆)では、精神的に大きな負担を強いてしまうことにもなりかねません。遺族の気持ちに配慮したお供え物を選ぶようにしましょう。

故人を偲び、ご遺族を思う心を示すためにも、マナーをしっかり守りたいですね。

コンシェルジュさん

新盆(初盆)にお香典・お供え物を贈る時期

一般的には8月15日だが、事前にしっかり確認を

新盆(初盆)のお供えの時期は、ほぼ全国的に8月13日~16日のお盆の時期が一般的です。

ですが、関東(とくに東京・神奈川)や北海道・沖縄の一部の地域では、現在も旧暦のまま7月13日~16日に行われるケースもあります。地域によって異なりますので事前に確認をしておきましょう。

訪問でお渡しする場合

直接訪問してお供えする場合は、必ず予め連絡を入れておきましょう。前述した期間のうち、先様のご都合にあわせて日程を決めるようにします。

お供え物を渡すときは「○○さん(故人名)にお供えください」と一言添えるようにします。また、訪問当日は喪服を着るのが一般的ですが、暑い時期ですので、できるだけ地味な服装を着用することで代わりとするケースも多いようです。

配送でお渡しする場合

新盆(初盆)の法要の案内をいただいたけれど、距離やスケジュール、時世の問題を考え出席が難しい場合は、法要の一週間前〜前日までにご自宅または会場に届くよう配送の手配をしましょう。

慌ただしいお盆の時期ですから、親しい間柄の方の場合は、送付のタイミングや場所などを事前にご遺族に相談しておいてもよいでしょう。法要会場に送る場合、品物によっては断られることもありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。

【参考】新盆(初盆)でもお中元を贈って大丈夫?

新盆(初盆)は故人を偲ぶ行事ですが、一方で「お中元」とも時期が近く、「新盆(初盆)の方にお中元を贈ってもよいのか」という疑問を抱く方もいらっしゃるようです。

お中元は、日頃の感謝の気持ちを伝えるもの。お年賀のようなお祝いごととは性質が異なるため、新盆(初盆)を迎える方に贈っても問題はありません。

新盆(初盆)を迎える側のお供え物

新盆(初盆)は、故人の忌明け後初めて迎えるお盆なので、特別に法要を行います。そのため、通常のお盆とは異なるお供え物やマナーが必要とされますので、事前にしっかり確認をするようにしましょう。

新盆提灯(ちょうちん)

お盆提灯は絵柄が入っていますが、新盆では白い提灯を使用します。

新盆提灯はひとつでよく、身内の方が用意します。新盆(初盆)が終わったら自宅の庭でお焚き上げしたり、菩提寺で処分していましたが、最近では少しだけ燃やすことでお焚き上げとして、新聞紙などで包んで、ゴミとして処分することも増えています。

新盆見舞いのお返し

新盆(初盆)のお見舞いに出席していただいた方には、返礼品をお渡ししましょう。菓子折りやお茶、せっけん、タオルなどが一般的です。持ち帰ることを考えて、重いものや大きいものは避けましょう。

のしは黒白または双銀の結び切りの水引に、表書きは「志」または「粗供養」とします。

新盆(初盆)であることを十分配慮して

新盆(初盆)と通常のお盆との大きな違いは、故人が亡くなってから初めて迎える法要の行事であるということです。故人の思い出も新しいですから、遺族の気持ちも晴れやかなものであるとは言えません。

新盆(初盆)で最も大切なことは、マナーやしきたりをきちんと理解しておくことです。情報収集をしたり、詳しい方に事前に確認を取るなどして、先様に失礼のないよう準備を整えることが、故人や遺族に寄り添う何よりの心配りであることを忘れずにいましょう。

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