年始めの茶事「初釜」の基礎知識とマナー

初日の出や書き初めなど、新年最初のものは特別な意味を持ちます。茶道においては初釜がこれにあたり、とても大切な行事とされています。茶道関係者でなくても招待されることがあります(表千家に限る)ので、知識やマナーを知っておいて損はありません。初釜の意味や服装、持ち物など基本的な知識をおさえておきましょう。

イラスト:初釜の持ち物/懐紙・懐紙入れ・菓子切り…初心者セットが便利/手ぬぐい…大判のハンカチでもOK/ご祝儀袋(結びきり・蝶結びの2種、表書きは「御年賀」)…水引きはその茶会のルールに合わせます

初釜とは

初釜とは、年が明けて最初に行われる茶会のことです。茶道における茶会は略式の気軽な会を意味しますが、茶道を学ぶ人にとっては、1年の稽古初めとなる大切な会でもあります。

初釜は「年が明けて初めて釜に火を入れる」ことを意味し、元旦の早朝に汲まれた水(若水・わかみず)を用いたお茶が振る舞われます。表千家の初釜は茶道関係者でなくても招待されますが、一方で裏千家では茶道関係者のみで行われます。

初釜の流れ

初釜のざっくりした流れをご紹介します。茶道では、振る舞い方の細かなルールがあります。初めて招待された方は、前の方がすることをまねすると良いでしょう。茶道では一番目に座るお客を正客といい、茶道に精通している人が選ばれますので、その人に倣うようにすると安心です。

<初釜の流れ(表千家)>

  1. 席入り
    正客から順に、掛け物や花入れ、釜を拝見して席に着く。
  2. 初炭
    釜に炭を入れる様子を見守ります。
  3. 懐石
    料理が振る舞われます。
  4. 主菓子
    お菓子をいただきます。
  5. 中立ち(席改め)
    招待客はいったん席を立ち、外の腰掛待合(休憩所のような、ベンチを設けた場所)へ行きます。この間、亭主(会の主人)は掛け物をしまったり、花を飾り直したりと席を改めます。
  6. 濃茶
    客は二度目の席入りをし、濃い抹茶をいただきます。一つの茶わんを3〜5名ほどで回します。
  7. 薄茶
    干菓子と濃茶よりも少し薄めのお茶をいただきます。

初釜に招かれたら、服装はフォーマルに

茶道をたしなんでいない方も知っておきたい、初釜の服装をご紹介します。

まず男女共通のマナーとして、時計やアクセサリーの類はNGです。これは大切な茶器を傷つけないため、また、その気遣いを示すために守りましょう。女性で洋装の場合には、小ぶりなネックレスをつけたくなるかもしれませんが、それも避けておいたほうが無難です。また、香水もつけないようにします。

男性は暗めな色のスーツがおすすめ。きちんとした印象のスーツを選びましょう。靴下は白が基本です。これは、茶室に汚れを持ち込まないという意味があります。できればおろしたてを用意しておきましょう。

女性の場合は和装が好まれますが、茶道関係者でなければ丈の短くないワンピースかフレアスカートが良いでしょう。茶会では正座をしますから、動きにくいタイトスカートはあまりおすすめできません。和装なら、未婚女性なら振り袖でもよく、既婚女性は訪問着もしくは黒以外の色無地がおすすめです。髪はまとめてすっきりと見せます。上品かつシンプルな装いを意識して選ぶようにします。

初釜で持参する物

懐紙・懐紙入れ・菓子切り

懐紙は、いただくお菓子の下に敷いたり、茶わんや口を拭いたりするのに使用します。懐紙入れは袱紗(ふくさ)挟みとも呼ばれます。これらがひとまとめになった「初心者セット」も売られているので、初めての方はそちらを用意するのもおすすめです。

手ぬぐい

食事の際に膝に広げたり、手を拭いたりするのに使います。大判のハンカチでもOKです。

ご祝儀

亭主へのお礼としてご祝儀を用意します。会費制にしている場合にはご祝儀は不要です。新札を入れるのがマナーですので、早めに準備しておきたいですね。

金額は食事の有無や、その茶会の通例で決まってきます。招待客で同額を用意するのがルールですので、不明な場合はお弟子さんやほかの招待客に聞くようにします。表書きは「御年賀」とし、水引きの下に小さめの文字で氏名を書き入れましょう。水引きは「何度あってもうれしいお祝い」としてちょう結びの場合が多いのですが、茶道の一期一会にのっとり、結びきりとしている場合もあります。こちらもほかの招待客にたずねて、合わせるようにすれば安心です。

初釜の時期には「花びら餅」を手土産に

初釜で出されるお菓子といえば、表千家では「常盤饅頭(ときわまんじゅう)」、裏千家では「花びら餅」が定番。

常磐饅頭は一見すると白い饅頭ですが、中には若草色の餡が入っています。雪のなかから若草が萌えるようなイメージのお菓子です。花びら餅は、甘く煮たゴボウと白みその餡に赤く染めたひし形の薄い餅を乗せ、白餅で包んだものです。白い餅に赤い餅がうっすらと透けて、とても優雅な気持ちにしてくれます。

茶会でのお菓子は亭主が用意するので、招待客が持参することはありません。常磐饅頭と花びら餅は、初釜の時期だけの限定品。新年のごあいさつの手土産として、風情ある贈り物になります。

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