夏越の祓とは 茅の輪くぐりの作法と行事食

6月の終わりには、全国の神社で「夏越の祓(なごしのはらえ)」が行われます。神社で茅の輪をくぐったり、人形(ひとがた)に罪穢れ(つみけがれ)を移したりして、残りの半年の無病息災を祈ります。この記事では、夏越の祓の行事でのふるまい方や、行事食「水無月」「夏越ごはん」をご紹介します。

イラスト:小学生の孫娘と手をつないで茅の輪くぐりをする初老の男性。

6月末の伝統行事「夏越の祓」とは

6月の終わりに神社で行われる「夏越の祓」は、元旦から半年間、知らずしらずの内に被ってしまった罪穢れや厄を祓うための神事です。12月の大晦日には、同じ理由から大祓「年越の祓(としこしのはらえ)」が行われます。

「夏越の祓」当日は、宮司にあわせて祝詞を奏上したり、人形(ひとがた・人の形を模した紙)で全身をなで、息を3度吹きかけて罪穢れを移して祓ったり、後述する「茅の輪くぐり」をして、1年の前半を締めくくります。

上記が行われる日程や受付時間などは、神社によって異なります。事前に確認しておくのがおすすめです。

茅の輪くぐりの作法

茅の輪をくぐると、半年の間に身についた厄災や穢れ(けがれ)が落ち、心身が清らかになり、次の半年も無病息災で過ごせるといわれています。

6月の後半になると神社に立てられ、設置期間中は自由に茅の輪くぐりができるようになっています。また、夏越の祓の当日は、神社が混雑することが予想されます。茅の輪をくぐること自体にお祓いの力があるので、正式な手順にこだわらず、さっとくぐっておしまいにしましょう。

茅の輪くぐりの手順

正面から茅の輪に入って、8の字を描くように3度茅の輪をくぐります。順番に見ていきましょう。

  • 茅の輪の正面に立って一礼します。ご神歌(※)を唱えながらくぐり、左まわりで正面に戻ります。
  • 正面に立ったらまた一礼。ご神歌を唱えながらくぐり、今度は右まわりで正面に戻ります。
  • 正面に立ったらまた一礼。ご神歌を唱えながらくぐり、再度左まわりで正面に戻ります。
  • 正面に立ったらまた一礼。くぐったらそのまま神前に進んで参拝しましょう。

※ご神歌

「水無月の 夏越の祓する人は ちとせの命 延(の)ぶといふなり」
神社によっては異なることがあるので、確認してみてください。

暑気払いにいただく和菓子「水無月」

夏越の祓の時期にいただくのが、涼しげな夏の和菓子「水無月(みなづき)」です。白いういろうの上に、小豆をのせた三角形の和菓子で、今でも京都では夏越の祓の行事食として欠かせないものです。

邪気を払うと考えられてきた小豆と、氷を模した三角形のかたちを組み合わせた「水無月」は、残りの夏も無病息災で過ごせるようにとの願いが込められています。最近では関東の和菓子屋でも見かけるようになりました。

新しい行事食「夏越ごはん」

「夏越ごはん」は、2015年に公益社団法人米穀安定供給確保支援機構が提唱し始めた、比較的新しい行事食です。百貨店やコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどで見かけた方もいらっしゃるかもしれませんね。

「夏越ごはん」は、雑穀ごはんの上に、「茅の輪」をイメージしたかき揚げをのせて、しょうが・レモン汁・大根おろしを加えた天つゆをかけるのか基本形。かき揚げには、夏バテ解消にぴったりのゴーヤや、食欲をそそるエビや赤パプリカが使われます。ボリューム満点の丼を、さっぱり食べられる夏らしい一品です。

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