大厄を迎える男性本人が配る「初老祝い」、祝いの意味と祝い方を知ろう

あまり耳にすることのない「初老祝い」。初老とは数え年で42歳のことで、寿命の短かった室町時代から伝わる長寿のお祝いのひとつです。初老祝いは「初老を迎えた“男性が”、お祝いを配るもの」で、男性の厄年と深い関係があります。この記事では、初老祝いの意味や、地域に残るならわしをご紹介します。

イラスト:厄払いを受ける40歳くらいの男性3人。右端の一人は頭の中で「厄除けぜんざい」に想いを馳せ「早く食べたい」と思っている。

「初老祝い」とは:大厄を迎えた男性がお祝いを配るもの

初老祝いとは、初老を迎えた男性が親族・知人・友人にお祝いを配るならわしです。初老とは数え年の42歳(満40歳)のことですが、現代の感覚で数え年42歳(満40歳)が初老と言われるとしっくりきません。しかし、初老は還暦・古稀・喜寿・傘寿・米寿と同じく「賀の祝い(がのいわい)」にあたり、平均寿命の短かった室町時代末期から行われてきた長寿の祝いのひとつです。

男性は「初老」と「大厄」を同じ年齢で迎えるため、初老祝いは「男性の厄落とし」の一面も持っています。

ちなみに厄年は災厄に遭いやすい年齢であると同時に、節分で年女・年男と一緒に豆まき役をしたり、神輿(みこし)をかついだり、神事に積極的に関わる「神役(しんやく)」を任される年齢です。今では「厄」の面ばかりが目立ちますが、「役」を意味する年齢でもあります。

「前厄・本厄・後厄」厄払い・厄除けの時期や場所、年齢の数え方

女性には初老祝いはないの?

先に述べたように、初老とは還暦や米寿と同じく長寿の節目のひとつですから、数え年の42歳(満40歳)の女性も初老です。しかし、「初老祝い」は初老と男性の大厄が深く結びついているお祝いですから、男性とは厄年が異なる女性が「数え年の42歳(満40歳)になったから祝いを配る、もしくはいただく」ということはありません。

現代の40歳の男女はまだまだ仕事に子育てにと奮闘している年齢であり、「初老」という言葉のニュアンスと合致しないように思います。男性でも女性でも数え年の42歳(満40歳)の「初老」を迎えた方へのお祝いは、後述しますが「厄払い」や「誕生日プレゼント」とするのが良いでしょう。

「初老祝い」の風習いろいろ

大厄を迎えた男性は、初老祝いとして親族や近所にお餅を配ったり、親しい人を招いて宴会を催したりします。これは、単純に人生の節目を祝う意味とともに、災厄が起こる前に、自分が持っているもの(財産など)を故意に失うことで、それ以上良くないことが起こらないようにするという厄落としの面もあります。

厄落としと言えば、厄年の人が寺社で行われる節分の豆まき役を務めるのもそのの一環です。ひとりでは祓いきれない厄を、豆をまくことで大勢に少しずつ持っていってもらおうという意味があります。

そのほか、初老祝いをはじめとした厄落としのならわしとして、たとえば石川県の一部では鏡餅の上に丸干しイワシを腹合わせにした「祝い餅」を配る、関西ではぜんざいをふるまって厄も一緒に平らげてもらう「厄除けぜんざい」などが残っています。(厄払いの祈祷を受けたあとに食べるぜんざいも「厄除けぜんざい」と呼ばれており、これらは混在しています)

初老を迎えた人へ贈るなら、「初老祝い」ではなく「厄払い」に

初老を迎えた人が周囲にふるまうのが初老祝いですが、反対に初老の男性にお祝いを贈ることもできます。その際は「初老祝い」ではなく「厄払い」としてお贈りしましょう。もちろん、通常の誕生日プレゼントでも構いません。

男性の数え年42歳(満40歳)の大厄を意識して贈り物を選ぶのであれば、厄除けになる縁起物がおすすめです。「長生き」に通じる縁起物として「長い物」も好まれてきました。かつては帯や腰巻きが好まれましたが、現代ではネクタイ、ベルト、ネックレスやマフラーが贈られます。

こちらの記事では、大厄(初老)を含めた厄年の方へ贈りたいプレゼントをご紹介しています。
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