上棟式・棟上げ式とは? 流れや費用などを解説

イラスト:上棟式で、祭壇を前に大工の棟梁と施主一家が柏手を打つ様子。左下には棟木の図解。

建物を新築するときに行う「上棟式・棟上げ式」。家を建てることになって初めて上棟式・棟上げ式という式が存在することを知ったという方も多いのではないでしょうか? そこで今回は上棟式の意味や流れ、費用について詳しく解説していきます。

上棟式・棟上げ式とは

「上棟式(じょうとうしき)・棟上げ式(むねあげ)」とは、建築作業の一区切りとなる「棟上げ(むねあげ)」(後述)の工程が無事完了できたことを祝い、加えて上棟式後も無事作業が進み、建物がつつがなく完成することを願う儀式のことをいいます。神事に加えて宴席が設けられたり、手土産やご祝儀が振る舞われたりすることもあります。必ずやらなければならないわけではないため、近年では省略されることもありますが、単に「無駄なのでやらなくてもよい」とは言い切れません。工事関係者への労いや感謝の気持ちも込められた儀式ですし、この後の家づくりにおいて施主と工事関係者の関係を深める機会にもなるので、周囲の意見やアドバイスなどもよく聞いて決めるとよいでしょう。

棟上げ(むねあげ)とは

「棟上げ」は「上棟」や「建前(たてまえ)」とも呼ばれ、柱や梁など家の骨組みをひと通り組み立てた後、屋根の一番高い位置に棟木(むなぎ)という木材を取り付ける工程のことをいいます。家としての形が出来上がる重要な工程であり、上棟式はまずここまでの無事を感謝するための儀式なのです。
ちなみに「棟上げ」は木造建築に特有の工程ですので、鉄骨造では鉄骨工事が完了したとき、鉄筋コンクリート造では躯体コンクリートの打ち込みが終了したときなどに上棟式が行われます。また近年では、上棟式自体を省略することもあるようです。

上棟式・棟上げ式の流れ

上棟式・棟上げ式のやり方は地域によって異なりますが、全国的によく見られる、一般的な流れは以下のようになっています。

  1. 棟梁が棟木に飾り物の「幣串(へいぐし)」をつける
  2. 棟梁が祭壇に幣串に紙垂を挟んだ「御幣(ごへい)」、神前に供える酒・飲食物「神饌(しんせん)」などを供え、飾り物をつける
  3. 施主と棟梁が建物の四隅の柱に、水、塩、米、酒をまいて清める「四方固めの儀」を行う
  4. 棟梁が先導して、二例二拍手一礼の「祈願」を行う
  5. 施主が挨拶をして乾杯を行い、宴席「直会(なおらい)の儀」に入る
  6. 掛け声と手拍子による「手締め」を行い、直会の儀を締めくくる
  7. 施主から棟梁をはじめとする工事関係者へお祝い品(引出物)やご祝儀を配る

上棟式・棟上げ式はいつ行うべき?

古くは棟木を上げる作業、つまり棟上げも上棟式の一部として行われましたが、現在はあらかじめ棟木を上げてから、縁起のいい吉日を選んで上棟式を行うのが一般的です。
一般的な吉日に加えて、建築関係では「建築吉日」と呼ばれる、十二直という暦注を元にした吉日があります。具体的には「建(たつ)」、「満(みつ)」、「平(たいら)」、「定(さだん)」、「成(なる)」、「開(ひらく)」の6つ。このうち、近隣三軒を滅ぼすとされる「三隣亡(さんりんぼう)」、何をしても成就しない「不成就日(ふじょうじゅび)」といった忌み日と重ならない日を選ぶとされています。

上棟式・棟上げ式の費用

上棟式・棟上げ式の費用は地域や儀式の規模によって異なりますが、家族と棟梁や現場監督、担当者、設計者、職人などを招く簡単なもので概ね10万円程度が目安とされています。「地域によって異なる上棟式の費用」で後述するような盛大な上棟式・棟上げ式になると、この2〜3倍の予算がかかることもあるといいます。

お供えの予算

お神酒、米、塩、果物や野菜などお供えの品物の相場は合わせて1万円程度とされています。

ご祝儀の予算

関係者へのご祝儀は地域の慣習にもよりますが、棟梁や現場監督で1万円〜3万円程度職人、その他の関係者へのご祝儀で3,000円〜1万円程度が相場と見られます。

お祝いの品の予算

ご祝儀と一緒に渡すお祝い品(引出物)については、お1人あたり3,000円〜5,000円程度が相場といわれます。好みに左右されにくい飲食物や、おすそ分けしやすい個包装のお菓子などが定番です。

飲食代の予算

宴席である「直会の儀」は簡素化され、乾きものやお菓子と飲み物だけを提供するということも増えています。仕出し弁当を用意してきちんとおもてなしする場合には、お1人あたり2,000円〜3,000円程度の品を用意することが多いようです。

地域によって異なる上棟式の費用

上棟式・棟上げ式は省略されたり、簡素化されたりすることもある一方で、地域によってはここまで紹介してきた一般的な内容とは違う、さまざまな慣習が見られます。そのため、上棟式の費用は地域やその慣習によっても異なります。

神主を呼んで神式の儀式を執り行う場合

先ほどご紹介したように、現在の上棟式・棟上げ式は棟梁や現場監督が中心となって儀式を行いますが、実はこのやり方は「略式」にすぎません。着工前に行う「地鎮祭」のように、本来は上棟式にも神主さんを呼んで儀式を執り仕切っていただくものなのです。もちろん、玉串料(初穂料)などは別途かかってきます。また希少ではありますが、仏式やキリスト教式の上棟式が行われることもあります。この場合も、お布施などを用意することになります。

祈願後、餅まきなどを行う場合

上棟式・棟上げ式で祈願後に行われる儀式のひとつで、建築中の建物の上から、集まった近隣の人に紅白餅やお菓子、小銭をまく「散餅散銭(さんぺいさんせん/散餅銭とも)の儀」。土地の神様に対するお供えや厄除けなどの意味合いがあり、「餅まき」などとも呼ばれます。昭和の頃にはよく見られたものですが徐々に省略されるように。地域にもよりますが、現在、餅まきまで行われる上棟式はかなり盛大なものと考えていいでしょう。

上棟式・棟上げ式の服装について

上棟式・棟上げ式には、いわゆる冠婚葬祭のような厳密な服装マナーは見られません。とはいえ、施主やその家族にとって晴れの席、儀式の場ですから、TPOに配慮した服装を心がけたいものです。

男性の服装

ネクタイを締めたり、スーツを着込んだりする必要はないと思われますが、いわゆる「通勤・オフィスカジュアル」程度のきちんと感がある服装を目安にしましょう。例えば無地か落ち着いた色柄の襟付きシャツに、スラックスやチノパンなど足がしっかり隠れるボトムス、カジュアルな革靴などを合わせるなどするとよさそうです。

女性の服装

こちらも「通勤・オフィスカジュアル」が目安になるでしょう。例えばややきれい目のワンピースやセットアップを選んだり、落ち着いた雰囲気のアンサンブルにひざ丈〜ロングのスカートやパンツを合わせたりするとよさそうです。工事中の建築現場に入りますので、念のため引っかけやすい素材・デザインの服、歩きにくい・脱ぎ履きのしにくい靴などは避けておくと安心です。

上棟式・棟上げ式の挨拶について

上棟式・棟上げ式では、乾杯の前などに施主が挨拶をするのが一般的です。わざわざ原稿を用意するようなかしこまった内容でなくても構いませんが、内容を考える際の参考として例文をご紹介します。

例文

本日はお集まりいただきありがとうございます。施主の◯◯でございます。
この度は皆様のおかげをもちまして無事に上棟式を迎えることができ、家族一同、心より感謝申し上げます。
もちろん完成が待ち遠しいところではございますが、なにより工事中、皆様にお怪我や事故がありませんよう、この後も安全第一で進めていただければ幸いに存じます。
どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

「先ず名乗り、上棟式を無事迎えられたことへの謝意を述べ、今後のことをお願いする」という流れが基本ではありますが、自分たちのことばかりでなく、工事関係者を気づかう一言を加えられるとなおよいでしょう。また乾杯前の挨拶の場合は特に、挨拶が長くなり過ぎないことも心がけましょう。

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