
いつどこで発生するかわからない災害は、仕事中に被災すると一時的に会社で避難生活をする可能性もあります。会社においては従業員とその家族の安全確保のため、防災グッズの備蓄と定期的な管理が必要です。ここでは、会社における防災グッズの必要性や、備蓄の例、適切な保管・管理のポイントをご紹介します。
会社で防災グッズが必要な理由
いつ起こるかわからない災害に備え、オフィスには防災グッズを準備しておく必要があります。2011年の東日本大震災では首都圏で公共交通機関が止まり、多くの帰宅困難者が発生し、大規模な渋滞も発生、大きな混乱をもたらしました。
従業員の安全を守ることは、企業の責任でもあります。適切な備えをしておくことで、社内外からの信頼を得ることができます。
家族はもちろんだけど、仕事仲間もしっかり守らなきゃね!
自治体によっては防災グッズの備えが努力義務となっている
会社内の防災グッズの備え付けは法的義務ではありませんが、一部の自治体では「努力義務」としています。努力義務に強制力や罰則はないものの、企業の社会的責任として防災用品の備蓄が推奨されます。
例えば、東日本大震災をきっかけに、2013年に施行された「東京都帰宅困難者対策条例」では、「従業者の3日分の飲料水、食糧その他災害時における必要な物資を備蓄する」ことを努力義務と定めています。1
従業員の命と安全を確保する
災害は予測が難しく、救助の到着が遅れる可能性もあるため、企業には従業員の生命と安全を守る責務があります。防災グッズの常備も重要な対策のひとつです。
オフィスに防災用品があれば、救助を待つ間の食料確保や、安全な場所への移動が可能となり、ヘルメットなどの防護用品によって危険を回避できる確率も高まります。
BCP(事業継続計画):事業を継続・速やかに再開する
災害(あるいはテロ、事故や不祥事など)といった危機的状況に置かれても、重要な業務が継続できる方策を用意し、被害や損害を最小限に抑えるための計画の事をBCP(事業継続計画)と呼びます。
災害の規模によっては事業が停止する可能性があるため、早期再開のための備えが重要です。仮に事業継続が困難でも、防災用品があれば復旧準備を進められ、結果的に早期再開につながります。
在宅勤務を採用している企業も従業員に対する安全配慮が必要
リモートワークで社内にいない従業員についても、企業の安全配慮義務は怠れません。防災用品を送付する、福利厚生などを活用して防災グッズの購入を促すといった対応を検討しましょう。
さらに、「リモートワークを想定した災害対応マニュアル」の整備も必要です。もし会社と連絡がとれなくなった場合でも、適切な対応をする心構えができます。
詳しくは、東京都事業所防災2をご覧ください。
会社で必要な防災グッズの例
災害時に必要な備蓄は、最低3日分とされています。この3日間は人命救助のタイムリミットである72時間に相当します。また、交通や通信などのライフライン復旧にも最低3日かかることを根拠としています。
備蓄は単に食べ物・飲み物だけではありません。簡易トイレ・衛生用品(マスクや手指消毒用アルコール・ウェットティッシュなど)・懐中電灯・携帯ラジオや予備電池など。いずれもライフラインの寸断を想定して準備することが重要です。
①非常食
災害時にはオフィスで寝泊まりする可能性を考慮し、飲料水と食料を備蓄しましょう。飲料水は1人1日3リットル(計9リットル)、食料は1人1日3食(9食分)が目安となります。
長期保存可能な食料としては、アルファ米や乾パン・缶詰・レトルト食品などがあります。賞味期限や保存・携帯のしやすさを考慮して選びましょう。
さらに、発熱剤があると火がなくとも温かい食事ができ、甘いものがあると気持ちが落ち着きます。これらも候補に入れて検討してみてください。
②防護・救助用品
災害発生時に最優先なのは身の安全の確保です。オフィス家具やOA機器の転倒に備え、防災用ヘルメットや応急処置セットを、机の下に吊るすなど、とっさに使える場所に置いておくことが重要です。
また、寒さや風雨に備えて毛布やレインコートを用意します。市販の胃腸薬や鎮痛剤・解熱剤もあると安心です。さらに、救助用のジャッキやバールを用意しておくことで、さまざまな緊急事態に対応できます。
③生活用品・衛生用品
衛生用品とは、清潔を保ち、感染症の予防などの健康維持に使用される製品を指します。上下水道が使えない状況でも衛生的に過ごせるよう、衛生用品は常に多めに備蓄しておきたいものです。また、情報収集のためには、ラジオや携帯バッテリーの備えが欠かせません。
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防災グッズ保管場所のポイント「分散配置」
防災備蓄品は「すぐに持ち出せる場所」に「複数か所に分散配置」することが重要です。とくに初動対応に必要な救助工具や救急用品は、探す手間を省けるようオフィス内の見える場所に配置することが求められます。見える場所に置くことが、シンプルで有効な周知の手段です。
備蓄品の保管場所を従業員全員に周知し、中身や数量を明記することで、いざという時の対応をスムーズに行えます。食品ロス対策として、賞味期限の管理も忘れずに行うことが大切です。
緊急性の高い備蓄品はキャビネットで保管する
発災1日目から必要な飲料水や毛布、救急箱は、各フロアでキャビネットに集約し、特定のフロアに偏らないように保管しましょう。キャビネットには内容物を一覧表示しておくと、災害時に探す手間が省けます。
また、とくにフロア数の多いビルでは、エレベーター停止のリスクを考慮し、各フロアの階段でたどり着ける位置に防災グッズ専用のキャビネットを設置することが望ましいです。
倉庫や空き部屋で保管する際の留意点
倉庫や空き部屋は、保管しやすい場所である反面、特定のフロアに偏ったり、見えないのでとっさに思い出しにくい、緊急時に迅速に取り出せないといったリスクも考えられます。
転倒対策や定期的な備蓄品の見直し、従業員への事前周知を徹底すると安心です。
発災直後に必要なものは従業員のデスクに保管する
発災直後に必要なものはヘルメット・軍手・ライトなど。発災1日目に必要なものは水・食料・トイレ・ブランケットなどです。これらは個人のデスクに設置し、入らないものは1人分のセットにしてデスクからほど近いキャビネットに置いておき、有事の際にすぐ手に取れるようにしておきましょう。
会社で防災グッズを保管する際の注意点
食料品は年に1度のペースで消費期限を確認する
食料品には消費期限があるため、定期的なチェックが必要です。リスト化して1年に1度棚卸しをしましょう。また、防災用でない食料や飲料水を多めに備蓄して使うたびに買い足す「ローリングストック」を活用することで、フードロスを減らしつつ実践的な備えになります。
普段から消耗品は災害時を見越して多めに備蓄する
飲料水やティッシュペーパーなどの消耗品は、災害時を見越して多めに備蓄しておきましょう。
「ローリングストック」を意識して、常に新しいものと入れ替えると無駄のない備蓄ができます。
脚注
- 帰宅困難者対策条例の概要リーフレット ↩︎
- 「リモートワークを想定した災害対応マニュアル」の例を確認したい方は「東京都事業所防災」のP73〜79をご覧ください。 ↩︎