献杯（けんぱい）とは、故人に敬意と追悼の気持ちを込めて杯を捧げること。一般的には、葬儀や法要後の会食の場で行われます。本記事では、初めての方でも安心して臨めるよう、献杯の意味や起源、挨拶の例文、香典返しの準備までをわかりやすくご紹介します。
献杯とは
献杯（けんぱい）とは、故人に敬意と追悼の気持ちを込めて杯を捧げること。一般的には、葬儀や法要後の会食の場で行われます。また、親しい方たちが集まって故人を偲ぶような、私的な席でも行われることがあります。
通常は飲食の前に献杯が行われますが、地域や宗派によっては食事のあとに行われる場合もあります。明確なルールがあるわけではないため、献杯を行わないケースもあります。
献杯の起源
献杯の起源は古代にさかのぼります。古代中国や古代エジプトなど、世界各地でみられる習慣です。日本も仏教の法要や神道の儀式と融合し、現在の献杯の形へと発展してきたと考えらます。
「献杯」と「乾杯」の違い
「献杯」は故人を偲ぶために行うもので「献杯」の発声の後は、グラスはあわせないようにします。一方「乾杯」は、結婚式などお祝いの場や普段の会食の席でにぎやかに行うものです。
ついクセでグラスをあわせそうになっちゃうから、注意したいね
献杯のタイミング
献杯は精進落としや法事の際のお斎（おとき）の席で行われます。
精進落とし
精進落としとは、初七日法要や火葬後に行われる会食のことで、葬儀や通夜に参列してくれた方々への感謝を伝える場でもあります。また、参列者同士が故人を偲び、思い出を語りあうひとときでもあり、多くの場合、この会食の冒頭で献杯が行われます。
法事の際のお斎（おとき）
法事の後に行われるお斎（おとき）でも、献杯は一般的に行われます。お斎とは、四十九日や一周忌、三回忌などの法要後に、僧侶や参列者に食事を振る舞う場のことです。
献杯の挨拶で押さえておきたいマナー
忌み言葉・重ね言葉を使わない
慶弔の挨拶に適さないいわれのある言葉は「忌み言葉」と呼ばれます。葬儀など弔事の主な忌み言葉には次のようなものが挙げられます。
重ね言葉
「ますます」・「重ね重ね」などは不幸が重なることを連想させます。
「死」や「生」・「苦痛」をネガティブに連想させる言葉
「死」や「苦」のつく言葉、数字の4と9、「生きていたころ」・「枯れる」・「終わる」・「絶える」・「消える」などの言葉は避けるようにしましょう。
『死』は「永眠」・「逝去」・「他界」、『急死』は「急逝」・「突然のこと」、『生きていたころ』は「生前」・「元気だったころ」など、言い換えの語彙をいくつか覚えておきたいところです。もし心配であれば、挨拶を聞き慣れている斎場の担当者などに、内容を確認してもらえないか頼んでみましょう。
故人の遺影に背を向けないようにする
献杯の挨拶を行う際には、遺影に背を向けないように気をつけましょう。遺影に背を向けるのは、故人やご遺族に対して失礼とされているためです。
とくに喪主や、献杯の発声を任された方は、参列者に気を配るあまり、うっかり遺影に背を向けてしまうこともあります。遺影の位置に気を配りながら丁寧に動くよう心がけましょう。
長々と話さないようにする
喪主の挨拶は長くても3分程度に収めるのがおすすめです。あまりにそっけないと寂しく感じられるかもしれませんが、「立派に務めよう」「故人のいい話を聞かせたい」と気負った挨拶は、聞き手にとってことさら長く感じられるものです。印象的なエピソード1から2に絞るくらいがよいでしょう。
挨拶が長いと、ちょっと疲れちゃうことってあるよね…
メモをみて話すのは問題ない
やることが多く慌ただしい中での挨拶ですから、手元でメモをみながら話しても失礼にはあたりません。暗記するよりも無理せず落ち着いて話すこと、時間や場所などの連絡事項を明確に伝えることを心がけましょう。
献杯をする際に参列者側が注意するべきマナー
飲み物を自分で注がない
献杯の際は、自分でグラスに飲み物を注がないようにしましょう。アルコールやソフトドリンクは会場スタッフによって順に用意されます。小規模な会食では、喪主が各参列者に飲み物を注いで回ることもあります。
献杯の挨拶が終わるまでは料理や飲み物を口にしない
献杯の挨拶が行われる前に料理や飲み物に手をつけるのは、参列者やご遺族に対して失礼とされています。代表者の「献杯」の発声があるまでは、食事や飲み物に手を出さず、静かに待ちましょう。
グラスはあわせないようにする
献杯の際は、乾杯のように賑やかにグラスを高く掲げたり、他の方とあわせたりすることはしません。厳粛な場での所作ですから、発声は落ち着いた声で行い「献杯」の発声のあとに、参列者はグラスを胸の高さまで静かに掲げて「献杯」と言います。
【故人との関係別】献杯の挨拶の例文
献杯の挨拶は必ずしも喪主が行うとは限らず、状況に応じて遺族や故人と親しい方にお願いすることもあります。
また、当日の流れや都合により、急遽挨拶を依頼されることもあります。とくに献杯の挨拶は、落ち着いて丁寧に言葉を伝えることが求められるため、基本的なマナーを確認しておくと安心です。
①葬儀後の会食での献杯挨拶の例文
親族代表として挨拶を行う場合
友人が挨拶を行う場合
②法事・法要後の献杯挨拶の例文
喪主が挨拶を行う場合
甥が挨拶を行う場合
香典返しや引出物の準備も大切な準備のひとつ
ここまで献杯について説明してきました。
献杯とは、故人を偲ぶ大切な儀式です。丁寧な挨拶と正しいマナーを心がけることで、感謝の気持ちや追悼の思いをしっかりと伝えることができます。
献杯を行う法要や葬儀においては、香典返しや引出物の準備も大切な準備のひとつです。どのような品を選べばよいかお悩みの方は、アイテムとご予算から選べるカタログギフトはいかがでしょうか。家族葬・少人数向けに1点からでもご注文いただけます。
