今見直される日本の贈答文化とラッピング~全日本ギフト用品協会 板川信夫会長インタビュー~
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「リンベル カタログギフト ラッピング大賞」で、募集から会の運営、審査員等様々な形でご協力をいただいた全日本ギフト用品協会 板川信夫会長に、表彰式の後にお話を伺いました。

- 贈答文化の魅力はなんでしょうか

贈答は双方向のコミュニケーション
贈答は双方向のコミュニケーション

贈答というのは、「贈=贈る」と、「答=お返し」といった双方向のコミュニケーションで成り立ちます。「買った人」だけでなく、「買った人が贈る人に渡す」、「贈った人にも喜んでいただく」、三方が非常に喜んでいただける、これが一般の購入活動とは違った魅力があると思います。

元々日本は農耕社会で、「お互い採れたものを分け合う」すなわち「贈答」という双方向の関係がありました。文化としては平安時代から根付いており、江戸時代から明治維新のあたりで確立されたと言われています。

ブライダル部門受賞作品
ブライダル部門受賞作

「贈」があって「答」があるというのは日本独特です。欧米ではブライダルでお祝いするときには「ウイッシュリスト(欲しいものリスト)」があり、その中から選んだものをお友達が贈りますが、「お互い様だからお返しはない」というのが普通です。

日本では、単にギブアンドテイクというよりも、コミュニケーションを楽しむような、そういう文化が根付いています。バレンタインデーに対してホワイトデーがありますが、あれも日本ならではです。「お返しをする」というのが日本の贈答文化の大きな特徴と言えます。

- 贈答文化の中にラッピングも含まれると思いますが、ラッピングを学ぶことの楽しさ、意義を教えてください。

出産部門受賞作品
出産部門受賞作

「大切な人に贈る」のですから、やはり「気持ちを包む」ことにこだわる方が多いです。一時「簡易包装」とか「エコ」が流行りましたが、あれでは自分で買うのと変わりません。ギフトの用途に応じて、それにふさわしい熨斗(のし)をしたり包装をしたりしてお贈りすることが大切です。

包むことは決して無駄ではありません。ラッピング大賞の応募作品でも、出産なら「赤ちゃんをおくるみで包むイメージ」というように、気持ちを移入し、工夫されていました。あれでこそお互い気持ちも動きます。 記念品やギフトに、「おめでとう」や「感謝」や「励まし」等の気持ちを込めて、それを包む。包むことで表現すると言うのは、日本の文化としてとてもいい習慣だと思います。

- 地域によっての違いはありますか。

応募作品展示
応募作品展示

そんなにはっきりした地域性はないのですが、都心部の方が、若い人の関心が高いようです。雑貨店等ショップも多いですし、ギフトをするのも一般的で、贈る時には必ずなにかで包んだり袋に入れてリボンをしたりということが多いです。

インターネットの普及で情報の伝達も早いですし、あっという間にSNS等で発信される時代ですから、そういうことを通じてギフトの楽しさを知り、歴史や文化にも触れてみたいという方若い方が増えているように思います。

- その中でこれは守っていきたい、次の世代に繋げていきたい日本のラッピングに関する伝統はなんですか。

水引、熨斗、包装は日本の文化
水引、熨斗、包装は日本の文化

水引、熨斗、包装。これは一時簡素化されましたが、外国の方々がこういった文化をすごくいいと評価してくれることで、日本の方々も見直して来ています。

水引も熨斗もいろんな意味合いがあります。おめでたい時には「熨斗鮑」といって、非常に縁起のいい鮑の干したものを添えることで、気持ちも込めることになります。そういった風習が若い方にも分かっていただければ、すごくいい広がりになると思います。

- 贈り物をする時に気を付けた方がいいこと、守りたいことはなんですか。

全日本ギフト用品協会 板川信夫会長
全日本ギフト用品協会 板川信夫会長

審査員の講評や受賞者のコメントにもありましたが、「思いを包む」「贈り手の心を感じていただく」のがラッピングの基本です。やはりまずは贈られる方の顔を浮かべて、「どんなことをお祝いしたいか」、「どんな気持ちを伝えたいか」を考えます。例えば赤ちゃんの場合は優しいイメージ、ブライダルの場合は鶴とか二人を結びつけるようなイメージですね。

そして、それに合わせた色やデザインを自分なりに挑戦したり、本やWEBやギフトショップのディスプレイをちょっと参考にしたり、そんなことからスタートされるといいと思います。熨斗や包装紙の合わせ方も意味がありますので、最初は間違えても、関心を持ってやっていくことが大切です。

- 頂く場合に、あるいは頂いた後に気を付けた方がいいこと、心がけたいことはなんでしょうか。

授賞式でのスナップ
授賞式でのスナップ

ラッピングには贈り主の気持ちが込められていますので、まずはゆっくり作品をながめ、お相手の思いに触れて頂きたいです。そこを意識されればより楽しくなると思います。

贈る方も贈られる方も、気楽に、コミュニケーションツールのひとつとして、季節とか行事にこだわらずに、どんどん楽しんで頂きたいです。

普段からギフトを贈る習慣があると、親戚でも友達でも、何かあった時にちょっと相談したり、コミュニケーションがスムーズになります。「不況だから」、「節約したいから」といって、そういった習慣をカットされる方も多いですが、こういった厳しい世の中程、見直していきたい習慣です。

- リンベル ギフトラッピング大賞について、印象、感想をお聞かせ下さい。

176作品のご応募をいただきました。
176作品のご応募をいただきました。

作品総数176点。実際自分でオリジナルのものを作って出すとなると非常に手間暇かかると思うのですが、応募数がすごく多いのでびっくりしました。

作品も、洗練されているものが多かったと思います。「カタログギフトのラッピング」という制約があることから、そんなに複雑なものは多くないのですが、シンプルだけど非常にセンスがいい作品が多かったです。審査員の方も何名か言っておられましたが、和と洋がうまくマッチした、どちらでも使えるものが多かったと思います。

色合いも仕上がりもシンプルで、いわゆる結納みたいながっちりしたものよりも、白、青、薄いパステル調が基調も多く見受けられ、また、良質な和紙が見直されていると思いました。それとフォトフレームを兼ねたものとか、お手紙を挟むところがあるもの等、機能的なものも多かったというのが印象です。

そういった意味で、今回の「リンベル ギフトラッピング大賞」は素晴らしい成果があったと思います。今後も是非続けていっていただきたいと思います。

- ありがとうございました。

一般社団法人全日本ギフト用品協会
理事・会長 板川信夫氏
1987年創立
主な事業内容

  • ラッピング&クイリング資格認定事業
  • ギフト・プライバシーマーク認定事業
  • カタログ認定番号制度事業
  • PL保険事業